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ヨガに似ていることからピラティスをその一つとして見られていることも多いようです。
たしかに、長い年月で歴史と伝統を抱えるヨガの影響下からピラティスが生み出されたことはいうまでもありません。からだをゆっくりと伸ばしたり、呼吸を意識しながら動かしていくことなど、似ている点もたくさんあります。
ただし、ピラティスはあくまでアメリカを発祥としているところからもイメージできるように、エクササイズとして日常生活やスポーツに必要な筋肉を鍛えたり肩こりや腰痛といった不快な症状を改善することにウェイトが割かれています。

この、からだのエクササイズがメインというのがピラティスの最大の特徴だといえるでしょう。もちろんヨガもからだのストレッチを通して肉体性と精神性を向上することが目的です。ただ、ピラティスの場合、からだを伸ばすことと同時に、インナーマッスルという内幹筋肉を鍛えていきます。結果として正しい姿勢を支えている全身の筋肉を適切な位置に調整することもピラティスならではのポイントです。

両者の共通点としてよく語られるのは、からだとこころを一体として捉えて、どちらもコンディションを整えていくことです。従来の西洋的な考え方ではからだとこころは別物として考えられていましたが、こうしたピラティスなどヨガのようなエクササイズを通して、アメリカでも両者の相関関係を大切にしていきはじめたことも、ピラティスが爆発的にブームになった理由と考えられるでしょう。

一方、ヨガとピラティスには明確な違いがあります。それは呼吸についての捉え方です。
ヨガはその成り立ちから連想されるように瞑想状態に入ってリラックスしていくことがメインのため、全身のリラックスを司る副交感神経を優位にさせる腹式呼吸を使います。
これに対して、ピラティスでは胸式呼吸を採用しています。交感神経を活発にさせて全身にパワーを与えて、頭をクリアにしていくのです。

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これまでエクササイズというと太ももや腕、胸といったからだでも外側についている筋肉を鍛えることが中心でした。アウターマッスルとも呼ばれるこの外側の大きい筋肉はスポーツには欠かせない大きな動きやスピードを生み出してくれます。
一方、近年、これまでほとんど注目されてこなかったアウターマッスルのさらに奥に潜むインナーマッスルという深層筋肉を鍛えることが全身をまんべんなく効率的な筋肉づくりにつながるのです。
ピラティスが一番の目的とするのはこのインナーマッスルのエクササイズです。アウトマッスルがからだの外側にあって瞬発力を生み出しますが、インナーマッスルは持久力をもった筋肉であり、普段の生活で加齢とともに衰えがちな深層筋肉を鍛えるため基礎代謝がアップして内臓脂肪を落とし、ウェストラインもシェイプアップしてくれます。

ピラティスはからだの奥部の骨についているさまざまな筋肉を丁寧に意識しながらエクササイズできることがメリットです。外側をとりまくアウターマックスを硬く引き締めて丈夫にするウェイトトレーニングなどと異なり、内部から細かに本来のしなやかさを引き出し、からだを柔軟でやらわかなスタイルへと導いてくれます。
しかも、インナーマッスルが持つ潜在的な持久力をアップさせるので、スポーツをする人にも持って来いといえます。持久力は一般人も日常生活をサポートする大切な力ですが、アスリートやスポーツ選手にとってはからだの故障を起こさせないためにも不可欠です。怪我は誰にとっても嫌なものですが、アスリートやスポーツ選手ともなれば選手生命も左右するような一大事の時代となります。そのため、怪我の予防としてもここ数年でピラティスを取り入れるアスリートが急増しているのです。

インナーマッスルはすべての運動のベースとなる筋肉であるだけに、激しいスポーツに集中するプロから普段スポーツとは無縁なお年寄りまで幅広い層で取り入れることができます。

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ヨガほどさまざまなやり方に分かれているわけではありませんが、ピラティスの方法にも大きく分けると2つあります。
いわゆる一般にイメージするヨガと同様に、ヨガマットを敷いてその上でエクササイズを行うという『マットピラティス』とピラティスの世界のなかでオリジナルに開発されたいろいろな器具を使用してエクササイズする『マシーンピラティス』です。

まず、マットピラティスの基本は複数の生徒たちと一緒にレッスンを受けるグループエクササイズです。エクササイズはさまざまな体質や筋力を持つ人が集まるので、平均的にトータルで全身を鍛えていくメニューが採用されています。グループレッスンの利点は流れるようなプログラムで飽きが来ることなく楽しんでコアマッスルを鍛えられということでしょう。エクササイズ自体に集中できるので瞑想状態がより強くなり、他のことを忘れて気持ちを無にすることが可能です。なお、プライベートレッスンではそれぞれの希望に応じてメニューを組んでもらうことができますので、自分が鍛えたい方向を伝えればニーズに添ったエクササイズをしてもらうことができます。いずれにしても、マットによるヨガと同じようにからだの声を聞きながら気持ちも開放させることが醍醐味となっています。

一方、マシーンピラティスはピラティス独特な機械を使ったエクササイズです。いくつかの機械が開発されていますが、なかでもリフォーマーやキャデラック、バレル、チェアなどがよく使用されています。マットピラティスと違って、これらの機械を使えば何百通りものエクササイズをすることができるので、鍛えるためのアプローチの幅を広げられます。
これらの専門機械は介護やリハビリテーションの考え方を取り入れているといわれていて、お年寄りや怪我によって運動が制限されている方のエクササイズにも向いています。日頃、からだを動かすのが苦手な人も入りやすいといえるでしょう。

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ピラティスを何のために行うのか。やはりダイエットのため、と答える人が多いのではないでしょうか。
ハリウッド女優やハリウッドセレブがピラティスを取り入れている理由は、美しいからだを手に入れるのにベストなエクササイズの一つだからです。しなやかで柔軟、それでいて強靭なからだというのは女性にも憧れであり、単に痩せるだけでは得られないものです。これまでダイエットといえば、食事を極端にセーブしたり激しい運動をひたすら続けたりといったものが主流でした。
しかし、健康的に痩せることが大切だと理解されるようになってからは、ダイエットにも適度な運動を行うのが常識となっています。体重だけ落ちたとしても肝心な筋肉が落ちてしまっては不健康でありダイエットをする意味がなくなってしまいます。単に痩せるだけのダイエットから卒業するためにも、適切なエクササイズによって健康的な肉体と精神を手に入れることこそ、現代人にとってもっとも重要なことなのです。

その点、ピラティスはダイエットにおいても遺憾なくパワーを発揮してくれます。ピラティスの根底にあるインナーマッスルへのアプローチは、全身をゆるやかに変化させ、筋肉への働きかけを通して歪んだ骨格や骨盤を自然なかたちで整えます。しかも、それが女性なら誰しも憧れるような平らなお腹や触りたくなるような背中にスラリとした手足を生み出すのです。

ヨガやピラティスを普段からしている女性の多くが凹んで平らなお腹をしています。これは、腹筋でもアウターマッスルを鍛えるこれまでのエクササイズと違って、腹筋のさらに奥にあるインナーマッスルを引き締めることで生み出される効果です。しかも、現代人に多い内臓下垂の状態を本来の位置まで引き上げて、内臓の活性化にも好影響があります。そして、それらが複合的に連動することによって骨盤周りの歪みが減り、ダイエットにもつながります。背中の筋肉や手足の筋肉にもお腹と同様なしくみによって理想的なからだづくりをサポートするのです。

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日本人に多い猫背や肩こり、腰痛などは姿勢が崩れていることが原因とされています。そんななか姿勢を良くしてくれるピラティスが大変注目されています。
姿勢が悪いことで内蔵にも負担がかかり、筋肉の動きも制限され、たとえダイエットのためにいろいろなスポーツ・エクササイズを取り入れたとしても思うような効果を発揮しないことがしばしば見られます。
そんななか、人間の基本的な肉体を手に入れるためにも姿勢をサポートしている背骨を正しい位置に導くピラティスが最適です。

まず、姿勢が良くない人の特徴として、胸や腕の筋肉はそれなりに強いものの、腹筋が弱いことが挙げられます。とくに大胸筋が強くなりすぎりと胸全体が縮みやすくなるため、自然に両肩が内側に入り、猫背になるのです。
それを改善するには、まずお腹まわりの筋肉を鍛えてやる必要があります。大胸筋はそのままにアウターマッスルからインナーマッスルまでの腹部全体を鍛えることで、背骨がまっすぐになりやすくなり肩から胸が張りやすくなります。そうすると横から見れば肩の位置、胸の位置、お腹の位置と一直線に並んで美しい姿勢というわけです。

このしくみをピラティスでは基本エクササイズから導入しています。ピラティスのエクササイズの多くで上肢を前方にする、スイミングのビート板泳ぎのような体勢を取りますが、これがとくに上半身の左右バランスを取ることにつながっています。左右の筋肉や骨格の違いを知らず知らず調整して、全身の筋肉バランスを整える結果、脊椎ごとに微妙な調整をしてくれるのです。

もちろん、初心者にとっては最初からエクササイズをきちんと行えるわけではありません。さまざまな歪みによって片側だけ上がってしまったり、自分では正しい位置に持って行っているつもりでも、先生から見れば下がってしまったままということもよくあります。ピラティスの先生はこれらの生徒の弱点をうまくフォローするため、正しい位置になるようリードします。

ピラティスのエクササイズを続けることで、アンバランスさが減っていき、意識せずとも正しい姿勢が取れるようになるでしょう。